対談・インタビュー
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デジタル田園都市国家構想が描く未来をキーパーソンに聞く

2022年10月15日(土曜日)
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Society 5.0の総合展「CEATEC 2022」の幕張メッセ会場の開幕が間近に迫っています。会場で大きな注目を集めそうなのが新設される「パートナーズパーク」。今年のテーマにデジタル田園都市を掲げています。今回は日本政府が掲げる重要政策であるデジタル田園都市国家構想のキーパーソン、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局の布施田英生審議官をゲストにお招きし、その構想や未来像について、CEATECエグゼクティブプロデューサーの鹿野清が聞きました。

デジタル田園都市国家構想とはなにか

鹿野 今年のCEATEC 2022の特別企画「パートナーズパーク」はデジタル田園都市をテーマに掲げています。早速ですが、このデジタル田園都市国家構想について教えてください。

布施田 はい、簡単に紹介すると、デジタルを活用することで地方が直面している課題を解決して魅力を向上させて地方を活性化させる、地方の潤いやゆとりのある生活を都会においても実現したい、また、都会の便利さや活力を地方においても実現したい、そのような願いを叶えるのがこのデジタル田園都市国家構想です。以前より地方創生の取り組みを進めてきましたが、これを継承し発展させて、デジタル技術をフル活用して地方を活化させるのがこの構想のポイントになります。

有識者の方々に議論いただきまして、その中でまとめられたキーワードが「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」。自動運転バスとか、自分が移動しなくても車が迎えに来てくれる暮らしや、オンライン診療で病院に行かなくても自宅で診てくれるとか、さまざまなシーンでのデジタル活用議論されたのですが、全体として考えるとどうなるのだろうとこのキーワードが出てきました。デジタル田園都市国家構想が描く未来像は「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」、そのために人口が減少するなかでも高齢化が進む中でも豊かな暮らしが築けるようにデジタル技術を徹底的に活用していきます。

地方から動き出す、デジタルを活用した課題解決

鹿野 まずは地域の課題解決が念頭にあると伺いました。どういったテーマがありますか。

布施田 おっしゃる通り、この構想の主役は地方です。国としては自治体が活用できるデジタルインフラの整備や人材育成など基盤整備に取り組みます。例えば5Gや光ファイバーを整備することでデジタルインフラを強化します。また、地方自治体がデジタル化に取り組むとき、ニーズの把握や調達、実装など、デジタル人材が必要であり、その人材育成を国として取り組みます。そしてその先は地方自治体がそれぞれの地域に合わせてサービスの実装に取り組んでいくことになります。

地方自治体はさまざまな課題に直面していますが、まずは地方自治体自身の業務のデジタル化に関する取り組みが注目されています。例えば役場の中に窓口に住民の方が来られていくつもの様式に記入するとか、いろいろな部署をまわらなくてはいけないとか、そういう大変さが未だにあります。そこをデジタル化で解決しようという取り組み、北海道北見市の「書かないワンストップ窓口」がその1つです。こういう事例は住民から見ても効果が分かりやすいですね。このような成功事例の横展開を支援していきます。

デジタル実装の甲子園、「Digi田(デジデン)甲子園」

鹿野 デジタル化はまだまだ実証実験段階、ということを耳にしがちですが、もう既に実現してサービスとして提供しているということは、非常に心強いですね。CEATEC 2022のオンライン会場、そして幕張メッセ会場に出展いただく方々のテーマを見ていますと、地方自治体との連携や課題解決型のサービスとかソリューションとか、そういった提案が多く見受けられます。たくさんのヒントや事例があると思いますので、地方自治体の関係者の皆様にはぜひ会場にお越しいただきたいです。成功事例がたくさんといえば、先日「夏のDigi田(デジデン)甲子園」を開催されましたよね。

布施田 デジタル田園都市国家構想をさらに加速させ、世の中の方々に広く知っていただこうと実施した取り組みの1つが「Digi田(デジデン)甲子園」です。全国の高校生が甲子園に集い努力の成果を競うように、全国の地方自治体からユニークなデジタル実装の取り組みを応募していただき、国民の方々の投票を経て、素晴らしい取り組みを内閣総理大臣賞として表彰する、そうして社会全体の機運を盛り上げていこうという取り組みになります。

鹿野 甲子園といえば春と夏の大会がありますが、「Digi田(デジデン)甲子園」の夏の次は…?

布施田 「夏のDigi田(デジデン)甲子園」は地方自治体が取り組まれているデジタル実装を対象にしました。次回は冬です。「冬のDigi田(デジデン)甲子園」の対象は、民間企業、大学などの研究機関、そのほか団体の皆さんです。地方の活性化につながるデジタル実装の取り組みを提案していただきたいと考えています。

地方には観光資源がたくさんありますし、農業にしても水産業にしても、それらは全て地方にある資源です。一方で課題もたくさんありますが、困りごとを解決するのがサービスの提供でありビジネスチャンスであるならば、民間企業の取り組みも地方でどんどん加速していくはずで、いま地方に焦点がいっているのは自然な流れだと思っています。地方における課題解決をデジタルでどのように解決して効率を上げていくのか、どのように地方を活性化させるのか、ビジネスの立場からいろんな応募が集まることを期待しています。「冬のDigi田(デジデン)甲子園」、ぜひたくさんご応募いただきたいと思います。

鹿野 今回お話を伺ったデジタル田園都市国家構想は、実は普段の生活に密着した話であり、地方はもちろん都会に住む人々にとっても関係のある構想だということが分かりました。「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」、力を合わせて実現に向けて取り組んでいきましょう。

ここでもっと詳しくお話を聞きたいところですが、実はCEATEC 2022のコンファレンスとして、布施田さんにもっと具体的にデジタル田園都市国家構想について語っていただいています。興味のある方は、オンライン会場のコンファレンスを是非ご聴講いただき、より理解を深めていただければと思います。本日はありがとうございました。

■コンファレンスのご視聴はこちらから(要登録)

PROFILE

ゲスト
布施田 英生 (ふせだ・ひでお)
内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 審議官

1967年福井県生まれ。1990年電気通信大学卒業。同年郵政省(現総務省)入省。総務省情報通信国際戦略局通信規格課長、総合通信基盤局電波部移動通信課長、内閣府参事官(重要課題達成担当)(政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付)、 総務省情報通信国際戦略局技術政策課長、国際戦略局技術政策課長、総合通信基盤局電波部電波政策課長を経て、2021年九州総合通信局長。2022年より現職。

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