対談・インタビュー
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CEATECの価値は多様な人や企業が集まることによる「化学反応」にある

2022年9月14日(水曜日)
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語り手:鹿野 清(CEATEC エグゼクティブプロデューサー)
聞き手:吉田 俊(「ceatec experience」編集長)

2020年、2021年と2年連続で完全オンライン開催となったCEATEC。2022年は3年ぶりに幕張メッセに戻ってきます。そしてオンラインと組み合わせた初のハイブリッド開催となります。「CEATEC 2022」の見どころや開催にかける思いについて、CEATECの鹿野清エグゼクティブプロデューサーに聞きました。

3年ぶりの対面による幕張メッセ開催

吉田 CEATEC 2022は3年ぶりの幕張メッセ開催です。この2年間は完全オンライン開催でしたので、久しぶりの対面会場での実施となりますが、率直な気持ちを教えてください。

「ceatec experience」の吉田俊編集長

鹿野 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、出展者や来場者の安全を最優先にするという方針で完全オンライン開催に舵を切った2020年。当初は今年こそはと考えていたものの、感染拡大が収まらず、2年連続のオンライン開催となった2021年。

そして2022年。しっかりと感染対策を施した上という条件付きではありますが、3年ぶりに幕張メッセで開催できるということは、主催者として率直にうれしい気持ちでいっぱいです。

CEATECは「Society 5.0の総合展」として「共創」をテーマに掲げていることから、やはり実際に人と人とが会って、話して、未来に向けたアクションにつながっていくという対面の価値は計り知れません。久しぶりにワクワクしています。

一方で、不安もあります。3年ぶりの幕張メッセとはいえ、単に3年前に戻るわけではありません。感染対策はもちろんのこと、急速にリモートでの会議やイベントが普及した社会において、対面開催の価値をしっかりと打ち出していかなければなりません。コロナ禍の期間を経てCEATECに求められる価値も変化してきています。

オンラインとの違いはセレンディピティの有無

吉田 CEATECでは「CEATEC体験」というキーワードを打ち出してきました。CEATECに求められる価値はどのように変わっていくと考えていますか。

鹿野 CEATEC体験とは、展示を「見て」、コンファレンスを「聴いて」、未来の社会を「感じて」「考えて」、共創に向けて「動き出す」ことです。過去2年間の完全オンライン開催においても、CEATEC体験によるバリューは変わらないと訴えてきました。

鹿野清 CEATEC エグゼクティブプロデューサー

ただ、多くの皆様が実感されたことと思いますが、「オンラインは確かに便利で手軽だけど、セレンディピティ(偶然の出会い)が足りない」という課題は難しいですね。CEATECの来場者の傾向として、情報に対する感度が高いとか、目的を持って来場される方が多い、などがありますが、いわゆる特定業界の専門展ではなく、総合展であるCEATECならではということで、多くの皆さんがこれまでにない「発見」や「出会い」を期待して参加されていますので、やはり対面の場が求められていると思います。

様々な展示から新しいトレンドを見出したり、異なる業界や企業の方との会話で新たな着想を得たり、アイディアを思いついたり……。CEATECの価値は多様な考え方やバックグラウンドを持つ人や企業が集まることによる「化学反応」にあると感じています。そうした価値を訴求することで、CEATECそのものも変わり続けながら、さらに進化していきたいと考えています。

多彩なキーワードが目白押し

吉田 CEATEC 2022は多様なプログラムが用意されています。各出展者による展示内容の発表はまだこれからではありますが、現時点で今年はどんなテーマに注目しているかなど、見どころについて教えてください。

鹿野 今年は「デジタル田園都市」「グリーン x デジタル」「メタバース」など多彩なキーワードが目白押しです。3年ぶりの幕張メッセ開催ということで、出展者の皆さんも大いに期待を持って準備されているようですので、私個人としても今からとても楽しみです。

10月18日に開幕する幕張メッセの会期に先駆けて、10月1日からオンライン会場がオープンします。まずはオンライン会場を訪れて今年のトレンドや傾向を見極めることができるのも、ハイブリッド開催ならではの特徴ではないでしょうか。来場者の皆さんにとって、今年もたくさんの発見があるCEATECになることを願っています。

実り多き「CEATEC体験」に向けて

吉田 最後に来場者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

鹿野 3年ぶりの幕張メッセ開催を楽しみにしていただいている皆さんには、まさに「大変お待たせいたしました」という気持ちです。対面会場ならではのCEATECの価値を改めて感じていただけるよう、出展者の皆さんと力を合わせて準備を進めてまいりますので、ぜひ幕張メッセに足を運んでいただけますと幸いです。お待ちしています。

一方で、これまで来場したことがない方も、ぜひ今年は幕張メッセに来場していただきたいと思っています。安心してご覧いただくために万全のコロナ対策を施します。また、出展者のブースをご覧になりながらも、空いた時間で仕事をしていただけるようワーキングエリアなどもご用意しています。

多様な人や企業が集うCEATECならではのセレンディピティがきっと対面会場にはあると思いますので、会場内をくまなくご覧いただき、ぜひ実り多き「CEATEC体験」を実感してください。皆さん、幕張メッセにてお待ちしています!

PROFILE

鹿野 清(しかの・きよし)
CEATECエグゼクティブプロデューサー

1951年、山形市生まれ。75年、電気通信大学卒業後、ソニー商事株式会社入社。ソニー(本社)テレビ事業部を経て、81~93年、ソニー・アメリカ赴任。帰国後、PC「VAIO」立ち上げ、98年、ソニー・ヨーロッパ赴任。欧州コンスーマビジネス担当役員を経て、2002年、国内販売部門帰任後は、B2Bおよびコンスーマビジネスの担当役員を歴任。08年、業務執行役員として全世界のコンスーマー販売部門担当。ブランディング担当役員としても各国の展示会・イベントを統括。渉外担当役員を経て14年に退職。エレコム顧問、盛田エンタプライズ顧問などを務め、16年、日本エレクトロニクスショー協会の顧問に就任したのち、17年に執行理事・理事。

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