CEATECニュース
カナデビア株式会社 ごみクレーン遠隔操作システムの実証に成功 完全自動運転目指す
2025年10月17日(金曜日)
ごみ焼却発電施設世界シェア1位のカナデビアは、ごみクレーン遠隔操作システム、ごみ焼却発電プラントや洋上風力発電設備などをメタバース上で体験できるバーチャルミュージアム、AIを用いた事業として胎児不整脈診断支援システムなどを紹介。ブースでは、本物のコントローラでベトナムのごみクレーン(ミニチュア)を遠隔操作するデモ展示で同社の独自技術をアピールした。
AI投入で安定燃焼 ごみクレーン自動運転化率を向上
カナデビアのごみ焼却発電施設は世界シェア1位1575施設(ライセンシー実績含む/2025年3月時点)で使用され、同社独自の技術が活用されている。
独自開発の「ごみピット&ごみクレーン3Dシステム」にはAIを実装し、ごみクレーンの完全自動化の開発を進め、自動化率(自動運転時間/稼働時間)を向上させた。
ごみピットに投入されたごみは、地域や天候(晴天、雨天)、ダンボールが多いなどの条件によりごみの状態に偏りが生まれる。そのため焼却前に大型クレーンで持ち上げてかきまぜる攪拌(かくはん)の工程が必要で、これが不十分だと不完全燃焼などの危険につながる。また、ごみ焼却発電施設ではごみを燃料として発電するため、発電の安定化にはごみ質の均一化が必要となる。
このように撹拌度を高めて均質化されたごみを投入し安定燃焼することが重要で、この課題解決に、焼却炉への投入に最適なごみのつかみ位置を決定するなどのAI自動運転技術が貢献した。
ごみクレーン遠隔操作システム 実証実験成功
ごみクレーンの自動化は約95%を達成。手動介入に頼らざるを得ない状況もあり、約5%は運転員の操作を必要とする。コンクリート製ごみピットの壁際でのクレーン操作は、オペレーターが担当した方が効率的だ。自動運転では壁への接触回避に慎重な動作となるからだ。
しかし近年は少子高齢化による清掃工場運転員の労働力不足、技能伝承の途切れが懸念されている。また、コロナ禍のようなパンデミックの際には、通常の運転体制が確保できないことも予想されるため、ごみクレーン遠隔操作システムが開発された。同システムは複数のごみ焼却発電施設のクレーンを一括で遠隔操作ができる。2022年には遠隔地からのごみピット管理とごみクレーン運転の遠隔運用の実証に成功し、平日1日間(24時間)の完全連続運用を達成。
出展ブースでは、約4,200キロ離れたベトナムにあるごみクレーンのミニチュアを遠隔操作するデモ体験が実施された。
バーチャルミュージアムを先行公開
カナデビアのブースでは、ごみ焼却発電プラントや洋上風力発電設備などの製品・事業を展示する「Kanadevia Virtual Museum」も注目された。遠隔地や海上にあり見学が難しい施設がインターネット上の仮想空間「メタバース」に再現され、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いてバーチャル体験するもの。11月1日の一般公開に先駆けての出展となり、公開後は同社ウェブサイトのリンクおよびアプリ「cluster」内でワールド名「Kanadevia Virtual Museum」を検索するとアクセスできる。
カナデビア株式会社は去年10月に日立造船から社名を変更。2年連続となるCEATEC出展を通じて新しい社名の周知に期待を寄せる。
Kanadevia(カナデビア)は“奏でる”と“Via”(道・方法という意味のラテン語)による造語で、技術革新によりオーケストラがハーモニーを奏でるように、人類と自然に調和をもたらす新しい道を切り拓く願いが込められている。
【出展者情報】
会社名:カナデビア株式会社
エリア:General Exhibits
ブース番号:ホール6 6H170
URL: https://www.kanadevia.com/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/nj/exhibitor_detail_ja?id=1649