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慶應義塾大学ハプティクス研究センター、遠隔で力触覚を再現する技術(リアルハプティクス)を使った山岳トンネル掘削作業の「自動火薬装填システム」をCEATEC 2023でデモ

パートナーズパーク

2023年10月11日(水曜日)
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慶應義塾大学の野崎貴裕准教授らの研究グループと株式会社大林組は、遠隔で力触覚を再現する技術(リアルハプティクス)を応用し、危険が伴う山岳トンネルの掘削面(切羽)直下での火薬の装填・結線作業を遠隔化・自動化するシステムの開発に取り組み、今回、自動火薬装填システムの開発に成功、NEDOの「官民による若手研究者発掘支援事業」(若サポ)の一環となるプロジェクトであり、CEATEC 2023パートナーズパーク・慶応義塾大学ハプティクス研究センターブースにおいてデモされる。

CEATEC 2023においてデモンストレーションされる、自動火薬装填・結線システム

■火薬装填の力加減をリアルハプティクス技術で遠隔操作が可能となった。将来的には装填作業や脚線を結線する作業の自動化などにより無人化も可能に!

このシステムは、リアルハプティクス技術を備えることで、切羽から離れた安全な場所から火薬の装填作業が行える。力触覚が遠隔の操作者に伝わることで、あたかも切羽で直接作業を行っているかのように直感的な操作ができ、火薬を装填する孔への円滑な挿入や、適切な力加減での火薬の押し込みが可能となった。ブースでは、このロボット側とリモコン側の一連の作業を実感できるデモが実施される。また、遠隔装填技術で得られたデータを利用して、作業者の動作を再現し、装填作業を自動化することで生産性の向上が期待できるという。今後、切羽との接触を感知しながら自動で脚線を結線する自動結線システム(特許出願中)の要素試験を進め、一連の技術の現場適用を目指す。また、各システムを自律学習させることで、トンネル掘削作業の無人化につながる開発を進めるとしている。

リアルハプティクス技術で遠隔操作が可能になった

●リアルハプティクスが成しえた遠隔装填技術

遠隔装填技術は、トンネル外の安全な場所に設置したリモコン側(作業者が操作する込め棒を模したもの)と、トンネル内の切羽で実際に作業するロボット側(ドリルジャンボに搭載するロボットアームに装着された装填ロボット)で構成される。今回は、装薬孔の孔壁と装填ロボットの接触状況や、火薬を装填した際の反力などをロボット側からリモコン側に伝える技術を開発した。作業者は、ロボット側から送信される映像を視覚で確認しながら、込め棒やパイプの抵抗が力触覚として再現されたリモコン側を操作することで、安全な遠隔場所から実際の装薬孔に火薬を装填しているかのような感触で作業を行うことができる。ロボット側では、リモコン側で動かした込め棒やパイプの角度、力の入れ具合をリアルタイムに再現できる。

●リアルハプティクスが成しえた自動装填技術

遠隔装填技術で伝送されるロボット側の火薬装填時のデータと、リモコン側の遠隔操作データを活用した自動装填技術を開発した。これにより繰り返し作業が自動化され、作業の効率化が可能となったとしている。

火薬装填作業の概要と装填ロボットの拡大図

■ハプティクス技術と多方面におよぶ共同研究事例をCEATEC 2023公式Webサイト慶應義塾大学ハプティクス研究センターオンライン会場で紹介

力と感触を把握する「力触覚」を伝える技術「リアルハプティクス︎®」をロボット等へ応用、人にしかできないとされてきた作業を機械化し、人にかわる労働力を創出して産業界に革新を起こすべく、既に多くの企業と共同研究を行い社会実装を進めており、その一部がオンライン会場で紹介される。
・Remote Touch Therapy〜タッチセラピーを再現するリラクゼーションシステム〜/トヨタ紡織株式会社/慶應義塾大学
・感触でモノを知る「触知技術」力触覚量の強度計測による包装食品の状態判定装置/
株式会社 情報システムエンジニアリング/モーションリブ株式会社/慶應義塾大学
・Think Robot/ 廃棄物発電設備 ガス化溶融炉 炉前作業ロボット/日鉄エンジニアリング株式会社/モーションリブ株式会社/慶應義塾大学

出展者情報

会社名:慶應義塾大学 ハプティクス研究センター
エリア:パートナーズパーク
ホール 5  ブース番号:P023
URL:https://haptics-c.keio.ac.jp/news-release/special2023/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=72

パートナーズパーク

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