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慶應義塾大学 ハプティクス研究センター、『ロボットが身近にいる未来を目指して』をテーマにブース展開

スタートアップ&ユニバーシティ

2022年10月18日(火曜日)
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人は対象物に接触した瞬間、加減する本能的な能力を持っているが、ロボットはこのような反射的力制御能力がなく、硬くてぎこちない動きしかできず、人との協働や柔軟物、漸弱物に対する接触作業を苦手としてきた。慶応大学ハプティクス研究センターでは、力触覚を伝送するリアルハプティクス技術とAIを融合させることで人の持つ高度な運動能力がロボットでも実現できることを明らかにしてきた。この技術を次世代ロボットに実装することで、私達を身近で支えてくれる新しい時代の到来が期待できる。

リアルハプティクスをAI化することで、猫を持ち上げるような力加減で、小さな魚を捕まえることだってできる。

人は対象物に接触した瞬間に相手に合わせて力を加減する本能的な能力を持っている。
リアルハプティクスは、人間の触覚を伝送・再現するだけではなく、それを拡張/縮小、これらをデータ化して保存することができる。ロボットアームの大きさや力の強さを変えることで、人間の手の動きや力を何百倍にも拡張できる。逆に縮小すれば、顕微鏡で行うような微細な作業を、楽な力加減と大ざっぱな動きもできる。猫を持ち上げるような力加減で、小さな魚を捕まえることが可能になる。人間の手の動きを保存してロボットアームに再現させることも可能になる。製品の組み立てなど人間が手作業で行っていたものを自動化するのに役立つうえに、人間よりも正確に休み無く動き続けられるので、製品の生産性は向上し、歩留まり向上にも貢献できる。

●腱駆動機構による独自の構造を持つ遠隔操作型ロボットアームによるデモを実施(事例、JST 未来社会創造事業/慶應義塾大学)

ロボットアームによるデモイメージ

ブースでは、独自のワイヤを用いた腱駆動機構を有するロボットアームが展示される。
デモのロボットアームは人間の腕を模した構造となっており、モータ本体を腕の構造体とすることで大幅な出力体積比の向上を図っている。またボールジョイントとシャフトを用いた特徴的な手首関節機構を実現しており、駆動源を手先ではなく外部に実装することで装置の安定化にも貢献している。
ブースでは、刀を持ったロボットアームが一方のロボットアームが持つ鞘に手加減しながら納める微妙な動きがデモされる。リアルハプティクスは、接触した瞬間に対象物に合わせて力を加減する、人が持つ本能的な能力を再現することができる。

ハプティクス技術と多方面におよぶ共同研究事例を紹介

●Think Robot/ 廃棄物発電設備ガス化溶融炉 炉前作業ロボット(日鉄エンジニアリング株式会社/ モーションリブ株式会社/慶應義塾大学)

廃棄物発電設備ガス化溶融炉溶融物清掃作業ロボット

廃棄物発電設備ガス化溶融炉において、従来、人によって行われていた出湯口に凝固・付着した溶融物の清掃作業をロボットの遠隔操作で実現した。この清掃作業には鋼製の突き棒を用いるが、強く突き過ぎると煉瓦を損傷させてしまうため、作業者は視覚だけでなく、付着物の硬さや粘り気など微妙な触覚を頼りにしながら動作を都度変える非定型な作業を行っている。本システムでは、ロボットを自由自在に操作する「リアルタイム制御技術」と、ロボットが受けた反力をオペレータの操作レバーに伝送する「リアルハプティクス技術」を適用することで、微妙な触覚を感じながら遠隔での作業を実現した。
※本事例は、一般財団法人エンジニアリング協会主催の「2022年度エンジニアリング奨励特別賞」を受賞した。微妙な触覚を感じるリアルハプティクス技術とその時々の状況変化に応じ自在に動作を変えることができるリアルタイム制御技術を活用し、従来機械化が困難であった3K作業の解消を始めとして、今後さまざまな分野への適用が期待される。
※廃棄物発電設備ガス化溶融炉溶融物清掃作業ロボット映像
https://www.youtube.com/watch?v=zzbp_3RB2s0

●石油天然ガスの探鉱・開発・生産へのデジタル技術適用に関する研究支援事業(株式会社INPEX/慶應義塾大学)

石油天然ガスの探鉱・開発・生産事例イメージ

探鉱・掘削・開発から生産、輸送といった石油・天然ガスのオペレーション全般における効率化および高度化に向けて、デジタル技術の適用への一環として、人が感じる力触覚の測定・伝送・再現が可能なリアルハプティクス技術の油井への適用をテーマとして、サッカーロッドポンプ(SRP) を用いた操業中の油井の地下に設置された生産設備の稼働状況や健全性、生産量などのパラメーターの微細な変化をリアルタイムで検知することを目的として、2020年度からJOGMEC と共同で実証試験を実施している。

※ピッチステージでは講演も行われます。
ピッチステージ:10月21日(金) 15:30-15:50 (ホール6 スタートアップ&ユニバーシティエリア内)
『人間動作の記録、編集、再現を実現するリアルハプティクス』
野崎 貴裕 慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科 准教授

※オンライン会場
《期 間》2022年10月 1日(土)〜31日(月)
《アクセス》https://online.ceatec.com/booth/9267
【セミナー動画】
 内容:ロボットが身近にいる未来を目指して       
 講師:慶應義塾大学 特任教授
    ハプティクス研究センター センター長  大西 公平

出展者情報

会社名:慶應義塾大学 ハプティクス研究センター
エリア:スタートアップ&ユニバーシティ
小間番号:SU045
URL:慶應義塾大学ハプティクス研究センター (keio.ac.jp)

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