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光が関わる薄膜・有機エレクトロ二クスの研究を推進している山形大学硯里研究室

ネクストジェネレーションパーク

2024年10月16日(水曜日)
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溶液プロセスによる世界最高性能のウルトラハイバリア

■あなたのほしいバリア膜、作ります!

バリア技術は世の中の様々なところで使われているが、ディスプレイ、太陽電池、食品パッケージは、そのパッケージ内に水蒸気や酸素が入ってくると劣化する。
山形大学硯里(すずり)研究室では、従来のコストのかかる真空成膜(真空状態の容器の中で対象物に薄い膜をつける技術)ではなく、最初にインクを塗って光を当てると緻密化が起きて緻密な無機膜ができ、それがバリアになる製法(溶液プロセスによる水蒸気ウルトラハイバリア:溶液プロセスで製膜した前駆体薄膜に紫外光「波長172nm」を照射することで、緻密な無機膜を得られる)に成功した。
真空成膜より低コストかつCO2を排出しないエコなプロセスが特長だ。
昔は光を10分当てて完成したものが、今や10秒で完成し、特許申請中とのこと。
山形大学硯里研究室では、現在、次世代太陽電池のペロブスカイト太陽電池のバリア層の研究がメインとのことだが、これ以外にも多くの用途で使えそうだ。
今後、展開していきたい道は多く、1つは食品の包装で、例えば長期間保存できる缶詰のように、食品をフイルムでパックして長期に渡って保存する方法だ。
さらに、血液製剤や点滴もその包装上、保存期間があるが、これらに対しても今よりも長い(具体的には10年を目標に)期間活用できるように取り組んでいきたいという。
また、食品包装は低コストでフイルムをなるべく少ない材料で作ろうという動きが主流の中、こうした技術を活かして大量生産するにはどうしたらいいのか、山形大学硯里研究室では、現在、フイルムメーカーとも連携し、共同研究している。
ちなみに、溶液プロセスによる水蒸気ウルトラハイバリアは、デバイスやパッケージ全体ではなく、インクジェット法を使い、ごく一部の小さな部分にもバリアを作ることができる。無機膜について知らない人は多いが、一般的には知らず知らず利用されている。
山形大学硯里研究室の研究は、緻密な無機膜が低コストで作れることの一つのイノベーションと言えるだろう。

【出展者情報】
会社名:山形大学 硯里研究室
エリア:ネクストジェネレーションパーク
ブース番号:ホール4 4H375
URL:https://suzuri-lab.yz.yamagata-u.ac.jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=151

ネクストジェネレーションパーク

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