CEATECニュース

CEATEC AWARD 2023 各部門グランプリ発表

CEATEC AWARD

2023年10月30日(月曜日)
TwitterFacebookHatenaPocketLine

CEATEC AWARDは、日本中、世界中の最先端テクノロジーが集まるCEATECにおいて、特にイノベーション性が高く優れていると評価された作品に授与される。
優れた技術を世に出すことで、新たな価値と市場の創造・発展に貢献し、産業を活性化させるために生み出されたこのアワード。関係学会やメディア、省庁などが厳正なる審査を行う、権威ある賞だ。

総務大臣賞、経済産業大臣賞、デジタル大臣賞、アドバンストテクノロジー部門、デバイス部門、コ・クリエイション(共創)部門、スタートアップ部門、グローバル部門からなるCEATEC AWARD 2023の結果をお伝えしよう。

■総務大臣賞
空間セキュリティマネジメントソリューション
株式会社東芝

ミリ波レーダICの独自統合技術と独自走査技術により、1秒以下で衣服に隠された危険物の可視化と検知を行うウォークスルー検査装置が総務大臣賞に輝いた。

近年、日本においても銃器や爆発物を使用したテロなどの犯罪による危険性が高まっている。
空港などのマイクロ波レーダを用いたボディ検査装置は、測定時間に約3~5秒要するため、立ち止まっての検査が必要で時間がかかるが、ウォークスルー型のセキュリティを実現する。
ガソリン等の液体や未知の危険物の検知も可能。モジュール化されていることで、ハードウェアは共有しソフトウェアで機能を持たせ、多目的に活用できる。多分野にも応用可能で、今後の実用性や市場性が大きく評価された。

(株式会社東芝 フェロー・森浩樹氏)
「電車内や街頭演説会場での不審者事件が増えている中で、特に鉄道会社や警備会社から期待する声が高まっている。まずはそうしたところで実証していきたい。
来場者からは『早く実用化してほしい』という期待の声を生で聞くことができ、一日でも早く実用化しなければいけないと気持ちが高まった。
セキュリティを高めるための装置は様々な分野の事業者と一緒に取り組む必要があり、今回のグランプリ受賞を機にそうした連携を強めて、私たちが目指す安全な空間を一緒に作っていきたい」

出展者情報

会社名:株式会社東芝
エリア:アドバンスドテクノロジー
ホール8 ブース番号:A001
URL:https://www.global.toshiba/jp/top.html
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=28

■経済産業大臣賞
金属インクジェット印刷技術を用いた環境負荷低減PCB
エレファンテック株式会社

フレキシブル基板の製造において、金属インクジェット印刷の独自製法「ピュアアディティブ法」を生み出し量産化に初めて成功した。
従来の代表的な製法「サブトラクティブ法」と比較し「ピュアアディティブ法」は銅の使用70%削減、CO2排出量75%削減、水使用量95%削減。環境負荷の大幅削減・コストパフォーマンスの向上を実現する。

既存の製法では基盤全面に金属を貼った上で、不要な部分を溶かして除去するという、大量の廃液や排水により環境負荷が高いことが課題だったが、必要な部分にだけ金属を印刷する「ピュアアディティブ法」により、CO2の排出量や水の消費量を大幅に削減するだけでなく、銅などの金属使用量も大幅に削減できる。省資源化、省コストにもつながり、競合他社に先駆けて量産化を実現していることや、将来のビジネス継続性、発展性も併せて大きく評価された。

(エレファンテック株式会社 P-Flexソリューション営業部 部長 松浦禎氏)
「これまでと全く違う製法で、環境負荷を下げて地球温暖化を防止する取り組みを日本発信で行った点が評価されたと受け止めている。今回の出展・受賞によって、すでに弊社が量産化している実績を国内メーカー各社に広く示すことができた。最終的な目標は全世界のプリント基板の製造方法を環境にやさしい『ピュアアディティブ法』に変えることであり、今回の受賞をいいきっかけとしたい」

出展者情報

会社名:エレファンテック株式会社
エリア:スタートアップ&ユニバーシティ
ホール4 ブース番号:S083
URL:https://www.elephantech.co.jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=91

■デジタル大臣賞
世界最小最軽量級のカメラが「働く」を変える。リアルタイム映像DXソリューション"Xacti LIVE(ザクティライブ)"
株式会社ザクティ

ウェアラブルライブ映像デバイス&配信サービス "Xacti LIVE(ザクティライブ)" は、30gを切る軽く小さいウェアラブル映像デバイスを用いて、建設現場や、機器メンテナンス・倉庫ピッキング・サーバー管理等のビジネスの現場担当のリアルな目線映像を音声とともに、いつでもどこからでも共有できるソリューション。複数拠点からの遠隔支援をリアルかつ円滑に実現する。

ヘルメットを着用しないシーンでも装着できるカメラは従来モデルよりも容積で1/7、重量で1/3に小型軽量化。29gと軽く、メガネや帽子、シャツなどに装着して使用可能。
小型軽量で、出張メンテナンスや物流、警備などのほか、小売りの現場からエンターテインメント活用、スマートグラスとの併用などと可能性も広がり、遠隔支援による少子高齢化に伴う社会的課題の解決に加えて、多方面でのDX推進が期待できる。

(株式会社ザクティ 営業本部 ソリューション営業統括部 浦谷真由子氏)
「従来のサービスも利便性に着目されることは多かったが、少子高齢化に伴う人手不足などの社会課題を解決できるソリューションであること、あらゆる業界のDX推進を期待できる点が高く評価されたと考えております」

出展者情報

会社名:株式会社ザクティ
エリア:アドバンスドテクノロジー
ホール6 ブース番号:A141
URL:https://xacti-co.com/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=273

■アドバンストテクノロジー部門 グランプリ
高品質なGaN系微小光源を作製するためのmicro-LED/micro-レーザー用独自基板と新工法
京セラ株式会社

微小光源(micro-LED)専用の独自基板(EGOS)と、その基板を用いることで高品質なデバイスを低コストで作製することができる従来にない新工法を開発した。

低欠陥、低コストでの製造を実現し、100µm共振波長レーザー素子にも応用可能。出展では幅広い応用例が示された。かつてLEDパネル製造は日本が独占していたが、近年は価格競争にさらされ苦戦が続く。様々な応用が期待されるmicro-LEDの革新的な素子製造は新たな日本の産業基盤としても期待される。

(京セラ株式会社 研究開発本部 先進マテリアルデバイス研究所 主幹技師・神川剛氏)
「micro-LEDは医療・通信・ディスプレイ・プリンティング、ありとあらゆる所に活用でき、生活を大きく変えるもの。あらためて日本発のmicro-LEDの生産技法として広めたい。ご来場者の方々に、独自の結晶成長法や、実装方法を説明すると『だからグランプリなんだね』とご納得いただき嬉しく思います」

出展者情報

会社名:京セラ株式会社
エリア:アドバンスドテクノロジー
ホール8 ブース番号:A004
URL:https://www.kyocera.co.jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=33

■アドバンストテクノロジー部門 準グランプリ
省電力AIプロセッサーMN-Core™シリーズ
株式会社Preferred Networks

MN-Core™シリーズはAIの学習を高速化し、省電力で高い計算能力を持つAIプロセッサー。
神戸大学との共同開発で、消費電力あたりの演算性能で世界最高水準を実現した。
今回さらなる小型化、電力性能(消費電力あたりの演算性能)を持つMN-Core 2を開発。
従来モデルと比較して、ラックあたりの演算性能は3倍、電力あたりの演算性能は33%向上した。

出展者情報

会社名:株式会社Preferred Networks
エリア:アドバンスドテクノロジー
ホール8 ブース番号:A121
URL:https://www.preferred.jp/ja/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=225

■アドバンストテクノロジー部門 準グランプリ
「おいしさを見える化」が創る未来の食卓
~野菜・果物・茶葉などのスマホ等での撮影画像からのAI解析による食味判定と情報化~
マクタアメニティ株式会社

スマートフォン等で撮影した画像から野菜等の「おいしさ」を、可視光による3原色RGBの分布をAIで瞬時に解析し数値化などで「見える化」する技術。検体の果汁を絞ったりミキサーで砕いたりする必要はない。甘味、旨味、コク、塩味、渋味などの情報も計測し「おいしさの見える化」を実現した。スマホアプリなどでアクセスすることで誰でも利用できることも特徴。
対象農産物は傷めず生産・流通・消費段階で食味情報を瞬時・タイムリーに入手できる。

出展者情報

会社名:マクタアメニティ株式会社
エリア:アドバンスドテクノロジー
ホール7 ブース番号:A055
URL:http://makuta-amenity.com/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=610

■デバイス部門 グランプリ
指先が持つ繊細な感覚を可視化するマルチフィジクス・ナノ触覚センシング
国立大学法人香川大学 JST-CREST

人間が感じる手触りを数値化・可視化する全く新しい領域の触覚センシングシステム。
対象が持つ触覚的特徴をAIに記憶させることによって、人間には判別が難しい対象を指先以上に高い感度と正確性で識別可能。
摺動部の異常摩耗や悪性腫瘍の超初期による発見、着心地、鮮度・熟度など様々な分野で客観的な触覚データの活用が見込まれ、今後の多様な分野での応用性が高く評価された。

(国立大学法人 香川大学 創造工学部 教授 高尾英邦氏)
「大変素晴らしい賞を授賞いただき、関係者全員大変な喜びに沸きました。今回は指先以上の感度を持つ高性能触覚センサと深層学習(AI)の協働により、人間を超える触覚の能力と可能性を示せたことを評価いただいたと感じます。この受賞を機に、普段お会いできない方々にも私たちが技術に込める想いが届くと願います。Society5.0実現と社会課題の解決に向け、微力ながらも継続的な取組を続けます」

出展者情報

会社名:国立大学法人香川大学 JST-CREST
エリア:スタートアップ&ユニバーシティ
ホール4 ブース番号:S081
URL:https://www.kagawa-u.ac.jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=70

■デバイス部門 準グランプリ
ガラス建材一体型 ペロブスカイト太陽電池
パナソニックグループ

有機ELディスプレイ生産の技術を応用し、ガラスの上に、透明電極、インクジェット塗布で太陽電池を製造、サイズ、自由度の高い加工が可能とする。
17.9%と高い発電効率を持ち、ガラスが使える場所であればどこにでも設置可能なので、従来の太陽電池よりも大きな市場規模も見込まれる。

出展者情報

会社名:パナソニックグループ
エリア:アドバンスドテクノロジー
ホール6 ブース番号:A128
URL:https://holdings.panasonic/jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=194

■コ・クリエイション(共創)部門 グランプリ
建設段階のデジタルツイン基盤CONNECTIA活用による現場DX実現
株式会社大林組

CONNECTIAは、建設現場の元請け、協力会社の職長ら向けに、施工計画業務の効率化や視覚的な施工シミュレーション、その結果の共有を行える、いわば土木・建築業界における3次元モデルをベースとしたデザインコラボレーションツール。普段3Dツールを頻繁に使わない人でも、ゲーム感覚で施工計画策定や情報共有を行うことが可能だ。

(株式会社大林組 土木本部 先端技術推進室・湯淺知英氏)
「最も大きな難題は誰でも簡単に使えること。そこでクラウドの構築をTIS株式会社と、操作性に関してユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社と3社で共同開発したことで、アプリケーションのレベルを一気に上げることができました。
建設段階だけでなく、運用維持管理にもつなげる、汎用的で一般的な技術を組み合わせて他のアプリケーション会社と連携しやすい設計になっている点が受賞につながったと思います」

出展者情報

会社名:株式会社大林組
エリア:パートナーズパーク
ホール6 ブース番号:P005
URL:https://www.obayashi.co.jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=212

■コ・クリエイション(共創)部門 準グランプリ
いっしょに考えます、トイレのこと「A-SPEC」
株式会社LIXIL

「A-SPEC」は、パブリックトイレを自動設計する無料のクラウドサービス。間口と奥行きを入力することで、レイアウトのプランが生成され、2Dの図面、3Dモデルの生成まで自動で行われる。独自のAIロジックによりスコアリングシステム、人流予測による混雑予想なども行え、より良い設計、空間を選ぶというような業務変革となることが見込まれる。

出展者情報

会社名:株式会社LIXIL
エリア:パートナーズパーク
ホール6 ブース番号:P011
URL:https://www.lixil.co.jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=202

■スタートアップ部門 グランプリ
エアモビリティー社会を支える小型高性能ポータブルドップラー・ライダー
メトロウェザー株式会社

ドローンの活用や空飛ぶクルマなどのエアモビリティーの社会実装には、地表近くの気象情報「風予報」が不可欠だ。
京都大学発のスタートアップ企業、メトロウェザーの小型高性能ポータブルドップラー・ライダーは大気中の微粒子の動きを元に、最大15km先までの風の動きをリアルタイムに算出する。

現在、大阪エリアでドップラー・ライダーネットワークの構築を行なっており、大阪万博会場上空と周辺の風況をリアルタイム計測、可視化している。ドローンやエアモビリティーなど未来のソリューションや現在稼働している空の安全にも貢献する「風の見える化」が評価された。

(メトロウェザー株式会社 代表取締役 古本淳一氏)
「CEATEC初出展で、大手企業の巨大なブースがある中で受賞させていただき有り難い。
一方で、大規模なブースを展開する企業に少しでも近づくことが新たな目標になった。
見えない風を見える化する取り組みは幅広いユースケースを持っている。
風が見えることで生まれる可能性の広がりを評価していただけたと感じている」

出展者情報

会社名:メトロウェザー株式会社
エリア:スタートアップ&ユニバーシティ
ホール4 ブース番号:S107
URL:https://www.metroweather.jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=1107

■準グランプリ
TL-SENSING™ ~人肌や吐息さえも高速検知。「熱」を可視化して異常現象を0.01秒キャッチ~
TopoLogic株式会社

TL-SENSING™は、新素材トポロジカル物質の熱流束センサ。
既存製品と比べて数千分の1のコストと、数十~数百倍の時間応答性を実現する画期的なセンサ。0.01秒未満で熱の動きを高速検知し、異常検出や故障予知、熱快適性コントロールデバイス、化学センサ、ガスセンサ、熱のマネジメント、制御、監視、人体モニタリングなど、多様な応用が見込まれる。

出展者情報

会社名:TopoLogic株式会社
エリア:スタートアップ&ユニバーシティ
ホール4 ブース番号:S125
URL:https://www.topologic.jp/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=125

■グローバル部門 グランプリ
ARC SYSTEM
R2C2 Limited(香港)

R2C2プラットフォームは、異なるメーカーのロボットで形成されたロボットフリートに対して、
自動化された検査やパトロールのミッションを監視、制御して作業を割り当てることができるユニバーサル・ロボット協調プラットフォーム。
リモートアクセスでロボットの制御・データ収集やメンテナンス作業を行うことが可能。
AIコンピュータ、カメラ、その他センサーを搭載し、ロボットの検査とナビゲーション能力を強化、通常のロボットに自律性と検査能力をもたらす。
ロボット活用が進むことで人手不足や事故等の問題解決に貢献する。

現時点で80%ほどの四足歩行ロボットをサポートし、将来的に解決できるソリューションも提示されたことから、BtoBtoBにおけるロボット活用の可能性、選択肢が広がることが評価された。


(R2C2 CEO San Wong氏)
「CEATEC、CEATEC AWARD 2023 審査委員会、日本貿易振興機構(ジェトロ)の方々に感謝申し上げます。
日本に来る機会を与えていただけただけでもありがたく、その上AWARDをいただけたのは嬉しいSurpriseでした。
将来のロボット同士のコラボレーションは、CEATECのテーマにも合っています。
ロボットやオートメーションに強い日本での高い評価は、私たちのビジョンが認められたことを示します。日本での受賞はとても意味があり光栄です。
受賞をきっかけに会場で多くの優良企業と巡り会えたことにも感謝しています」

出展者情報

会社名:R2C2 Limited(香港)
エリア:スタートアップ&ユニバーシティ
ホール5 ブース番号:S010
URL:https://www.r2c2.ai/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=1208

■グローバル部門 準グランプリ
AI-based wearable solution for a long-term and remote heart monitoring
~遠隔での心臓モニタリングを実現するAIヘルスケアソリューションの開発~
Cardiomo(ウクライナ)

Cardiomo社が提供する「Cardiomo」は、ウェアラブルデバイスとクラウドベースの分析プラットフォームを組み合わせ、AIにより不整脈などの心臓疾患の早期発見、予後を改善するソリューション。
本デバイスはBluetoothでスマートフォンと接続し、患者本人だけでなく医師や家族とも健康状態を共有できる。医療機器であり、日本での認可などの課題はあるものの、ウクライナをはじめ複数の国で実用化されている。

出展者情報

会社名:Cardiomo(ウクライナ)
エリア:グローバルパビリオン
ホール5 ブース番号:G009
URL:https://cardiomo.com/
出展者詳細:https://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=1176

「CEATEC AWARD」について詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.ceatec.com/award/

CEATEC AWARD

TwitterFacebookHatenaPocketLine

RELATED POST