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【CEATEC 2024 出展事例】横河デジタル株式会社様

出展事例

横河デジタル株式会社

2025年2月6日(木曜日)
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この記事を3行でまとめると…

  1. 「AIファースト・マニファクチャリング」をCEATECで初お披露目。
  2. FKDPPを活用した三段水槽・ミニプラントの実演で、AIを“見える化”した展示が大好評。
  3. 学生から経営層まで幅広い来場者にアピールし、今後は海外展開も視野に。

CEATEC 出展企業にその狙いなどを伺う本企画。
今回は、CEATEC 2024に初出展された横河デジタル株式会社にお話を伺いました。

横河デジタル株式会社は、100年以上の歴史を持つ横河グループの一員であり、製造業のデジタル変革を推進するコンサルティングファームとしての側面をもつBtoB企業です。近年はAI技術を活用した製造業の革新に取り組んでおり、今回のCEATECでは「AIファースト・マニュファクチャリング」というコンセプトを提唱しています。

出展者プロフィール

Interviewer profile横河デジタル株式会社
事業戦略センター
コーポレートコミュニケーション部 部長
渡邊 直希 氏

横河デジタル株式会社
IT/OT
ビジネス推進室
田野井 淳 氏

CEATEC出展の経緯と、「AIファースト・マニファクチャリング」とは

―― まず、横河デジタルさんの今回のCEATEC出展の内容と、そもそもなぜCEATECに初めて出展しようと決めたのか教えてください。

私たちは“AIファースト・マニュファクチャリング”というコンセプトを2024年に打ち出し始めたところで、その内容を広く知ってもらいたいという思いがありました。ちょうどCEATECさんから“AI for All”という特別エリアがあると伺い、私たちのコンセプトに合うのではと考えたのが大きなきっかけです。5〜6月あたりから構想が始まり、秋頃に展示物やブースの内容が固まっていきました。

横河電機時代からAI技術の開発は進めていましたが、AIを産業用に汎用型として本格的に推し進める“AIファースト・マニュファクチャリング”という考え方は今年に入り正式に打ち出したばかりなんです。CEATECの規模や来場者層、そして“AI for All”への参加はタイミングが良かったと思います。

出展時の目標設定

―― 今回、出展にあたっての目標やKPIなどは何か立てられていましたか? また初めての参加ということで、社内の調整などでご苦労はありませんでしたか?

正直、厳密なKPIは設定していませんでした。初出展で例年のベンチマークがなかったので、“まずは新しいコンセプトを知ってもらう、ブランディングの場にする”ことが最優先だったんです。もちろんビジネスリードの獲得やメディアへの露出があれば良いなと思っていましたが、結果的には取材依頼やアポイントがいくつも入りました。

社内的には「あのCEATECに出展⁉」という声もあったんです。横河は計測器やプラント制御のイメージが強く、CEATECのような総合展は少し遠いのでは、という印象もありました。でも“AIファースト・マニュファクチャリング”をアピールするには良い機会だという声が社内から上がり、部署間で協力して進めましたね。準備では苦労もありましたが、やりがいを感じながら作り上げられたと思います。

展示の際の工夫:FKDPP、三段水槽、ミニプラント

―― 会場でも大変注目を集めていた“三段水槽”や“ミニプラント”などは、どのような狙いで展示されたのですか?

展示の核となる技術は、プラント制御AIの“FKDPP(Factorial Kernel Dynamic Policy Programming)”というアルゴリズムです。いわゆる“強いAI”を目指して奈良先端科学技術大学院大学と共同開発し、内閣総理大臣賞を受賞した実績もあります。これを使うと、短期間・少ない試行回数で産業プロセスを自立制御できるようになるんです。
しかしAIは目に見えないので、“実際にどう動いているのか”を伝えるために三段水槽やミニプラントを作りました。三段水槽は水を制御しながら短い試行回数で最適化する様子を実演するデモで、ミニプラントは分離や混合といったプロセス制御をAIに任せる仕組みを小型化・可視化したものです。

AIの制御対象はプラントや工場など大規模設備を想定していますが、本物のプラントを持ち込むわけにはいかないので(笑)、水槽というわかりやすいビジュアルを用意しました。搬入や設営は大変でしたが、結果的に好評でしたね。

出展成果:メディア露出・リードの獲得・社内評価

―― 出展後のみなさまの反応はいかがでしたか?

想定以上にメディア取材が入り、社長(鹿子木)の講演も話題になりました。新聞社さんが紙面とデジタルの両方で取り上げてくれたり、マスメディアもブースを取材してくれたりしました。具体的なお問い合わせも入り、そのうち数件はアポイントに進んでいます。

製造業の方々からは「属人化した技術や匠の技能をAIで学習・継承できるのでは」という声が多かったですね。BtoBの現場では人手不足やベテラン社員のノウハウ継承が大きな課題なので、この点への期待が高いように感じました。

グループ会社や経営層も現地に来て、「実際に立派なブースを展開していて、よくまとまっていた」と評価してくれました。普段はプラント系や計測系の専門展示会への出展が多いのですが、CEATECのように幅広い層が集まる場は良い刺激になったと思います。

学生の反応と想定外の盛り上がり

―― 今回、学生を属性とする来場者が前年比で1,000人増えているそうですが、次世代を担う皆さんの反応はいかがでしたか?

これは正直、想定外でした。三段水槽を熱心に見つめる学生さんが多くて、AIといっても抽象的なイメージがありますが、水がどう制御されているかを目で追うことで興味を持ちやすかったようです。大学でAIを専攻している方もいて、かなり具体的な質問をされたり、こちらが刺激を受ける場面もありましたね。

社員も「社のロゴ、覚えておいてね」なんて言いながら盛り上がっていました(笑)。製造業向けの展示会ではあまり学生さんと接する機会がないので、とても新鮮でした。

CEATECの魅力と今後の展望

―― CEATECそのものについて感じた魅力や、今後の開催にあたっての要望があれば教えてください。

世界や日本を代表する大手のメーカーや自動車メーカーなど、幅広い企業が一堂に会する場はやはり大きいですし、メディアも多く来るのでブランディングに効果的だと思います。BtoBの商談だけでなく、認知拡大にも繋げられました。今後も製造業界の経営層やDX部門の方がCEATECにさらに集まれば、ビジネスチャンスも一層広がるのではないでしょうか。

ブースには想像以上の人が来ていて、私たちは説明や講演対応などに追われ、気づけば夕方の閉場時間になっているような日もありました。運営側にはVIP来場者の情報提供など、細かい面で改善していただけるともっと対応しやすくなるかと思います。

今後の展望

―― 最後に、横河デジタルとして今後どのように“AIファースト・マニュファクチャリング”を展開していく予定ですか?

海外拠点やグループ会社との連携も視野に入れています。横河電機は売上比率的に海外が強いので、いずれ世界各地の展示会でも同様の取り組みを進めるかもしれません。ただ、まずは国内で認知度を高め、実績を増やしていくことに注力したいです。

私たち横河デジタルは、コンサルティングやDX推進の役割も担っています。AIが注目される中で、“強いAI”を現場に生かすには制御技術とセキュリティや安全管理の知見が不可欠です。そこが横河グループ全体の強みなので、今後もそれをアピールしつつ、実ビジネスにつなげていく方針です。

編集後記

横河デジタル株式会社は、2024年に打ち出した「AIファースト・マニュファクチャリング」をCEATEC 2024 にて初めて大々的に発表し、短い試行回数で産業プロセスを自動制御するAIアルゴリズム「FKDPP」のデモンストレーションなど、先進的な取り組みを披露しました。
三段水槽やミニプラントといったわかりやすい可視化によって、多くの来場者の関心を集めたことが特長です。実際に取材依頼やアポイント獲得にもつながり、CEATECが幅広い業界関係者との新たな接点やビジネスチャンスを生み出す場であることを示す好事例と言えるでしょう。
CEATECは多様な分野の企業やメディアが集結し、最新技術が交差する総合展です。今回の横河デジタル株式会社のように新コンセプトを持つ企業にとっては、社会的課題や現場のニーズにどう応えるかを具体的に提示する機会となり、より広い層からの反応を得やすいのが魅力です。こうした場を通じて自社技術を広く知ってもらい、さらなる事業拡大や海外展開に向けた足がかりを得ることも可能です。CEATECへの出展を、次のステージへ向かう選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

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