昨年のCEATECは25周年を記念したAI企画「AI for All」を目玉に、多彩なイベントが同時併催されるなど非常に盛り上がりを見せました。加えてジャパンモビリティショーも同時期に開催され、自動車・輸送機器関連を中心に来場者層が広がったことで、会場の雰囲気がさらに活気づいた印象です。
当社としては、2022年に初めてCEATECへ出展し、鉄道会社が開発した技術やソリューションを幅広い業界の方々へお披露目したところ、想像以上に大きな反響を得ることができました。そこで今回も、鉄道に限らず多分野の方にリアルとデジタルの両面で進化する「ミライ」を、お客様と当社のリアルな接点である「駅」を起点に体感してもらい、新たなパートナーシップや社会実装につなげたいという想いから出展を決めています。
ブース全体のコンセプトは「Ride the Future」です。お客様にとって馴染み深い当社との接点である駅を基調としたデザインを入口に、当社グループが培ってきたリアルなサービスとデジタル技術を掛け合わせることで“人・まち・社会”をつなぐ新たな価値を創出した世界観を表現し、具体的には以下のようなトピックを柱にする展示構成としました。
ブース内には「Wesmo!」の利用デモ環境をWeb上に用意し、手軽に決済できる体験をしていただきました。体験者の方からは「導入コストが抑えられそう」「鉄道会社が作る新しい決済という視点が興味深い」などポジティブな声を多くいただいています。実際に、既存のコード決済サービスとの違いを質問される場面もあり、手数料や地域活性化の仕組みへの関心が高いと感じました。
さらに、個人向けだけでなく取引先企業同士の決済にも使えるのも大きな特徴です。地域の様々な事業者様に対して、当社が西日本エリアに展開する支社やグループ会社が持つ様々なネットワークを活用しながらアプローチすることで、今後に向けた事業拡大につなげることができると大きな期待を抱いています。
やはり“テクノロジーの総合展”ならではの集客力と多様性が大きな魅力で、昨年同様、今回も多くの方に当社ブースへ足を運んでいただきました。具体的には、自動車や輸送関連企業、大学や研究機関の方との出会いが増え、当社が持つ鉄道関連技術やサービスに対して「ぜひコラボレーションの可能性を探りたい」という打診を受ける場面がありました。
加えて、メディアの取材件数も予想を上回り、ブースでのインタビューや実際のサービス体験レポートがWeb・雑誌などさまざまな媒体で発信されています。こうした報道を通じて当社の取り組みを広く知っていただけたのは、大きなプラスでした。
社内的には、社長や幹部が直接ブースを訪れ、担当者と対面でコミュニケーションする姿が印象的でした。事業責任者クラスと現場の担当者が同じ目線でサービスをPRする機会はそう多くないため、「経営陣に我々の仕事を見てもらえた」「新しいサービスへ理解を深めてもらう絶好の機会だった」という好意的な意見が出ています。
社外的には、“JR西日本がどんな未来づくりを目指しているのか”を「駅」というリアルな接点を起点にあらためて知ってもらう場になったと思います。鉄道を使っている一般のお客様だけでなく、多彩な業種の企業や自治体の方々に対しても「こんな形で連携できるかもしれない」とイメージしていただけたようで、事後のやり取りが増えていることは大きな成果ですね。
国内外を問わず、さまざまな業種・業態の出展者と来場者が集うため、新しい発見やアイデアが生まれやすいことが魅力だと感じています。たとえば当社の場合、モビリティという観点で自動車業界やスタートアップ企業とつながることができたり、デジタル技術という面でITや通信系の方々と接点を持てたりと、幅広いコミュニケーションが可能です。
また、当社の目玉サービスを集客力のある場で披露できるのは、社会へ向けた発信としても非常に効果的です。今回は「Wesmo!」に対する問い合わせや、BRTについての質問など、展示会後もやり取りが活発化しており、CEATECが一種のハブの役割を果たしていると感じました。
私たちJR西日本は、「駅」という場を起点にして人々の暮らしや地域社会を支えるべく、多角的なサービスづくりに力を入れていきます。デジタルやAIなど新しい技術を積極的に取り入れる一方で、日常生活を支えるリアルの強みも大切にしながら、地域の中小事業者や自治体といった幅広いステークホルダーとの連携を深めていく方針です。
CEATECへの出展は、まさにそうした取り組みを広く発信し、異業種と新しい関係を築く貴重な舞台になっています。ブースを訪れる来場者は、業界の垣根を越えて交流や情報収集を行う方々ばかりなので、意外な発見やコラボレーションが生まれるのも醍醐味です。もし自社のサービスや技術をもっと広く知らしめたい方、あるいは新たなパートナーを求めている方がいらっしゃるなら、ぜひCEATECという場を前向きに検討していただければと思います。
編集後記
JR西日本様のブースでは、“Ride the Future”を合言葉に、駅とデジタル技術の融合がもたらす新たな価値創造を目の当たりにできました。特にスマホ決済「Wesmo!」は、中小事業者が導入しやすいスキームのほか、鉄道会社ならではのリアルなインフラとの連携が強みとなり、大きな注目を集めています。加えてBRT、自動運転、メタバースなどの先端技術との組み合わせも含め、JR西日本というリアル産業がテックの力を取り込みながら未来のまちづくりを推進している姿が印象的でした。
CEATECは、こうした多様な企業の先端事例が集い、業界の垣根を越えた連携の芽を生む場としてますます注目を浴びています。今回の事例をきっかけに、ぜひ次回のCEATEC出展を検討してみてはいかがでしょうか。新たなビジネスや技術発展のヒントを得られる絶好の機会になるはずです。