「i3 Micro Module: 予知保全を実現するエッジAI対応ワイヤレスセンサモジュール」は、設備や機械の状態をセンサでリアルタイムに監視する「Condition based Monitoring」を実現する製品です。
正常状態の振動をまず取得してAI学習を行い、できたモデルをモジュール内に書き込むことで、モジュール自身が現状の振動と正常状態からの乖離度を判断できます。これを我々は「エッジAI」と呼んでいます。
お客様が設定可能なインターバルで数秒のデータを取得し、あらかじめ学習したAIモデルと比較して乖離度を判定・送信します。温度センサも内蔵しており、周囲温度や振動の特徴量(Peak to peak、RMS値、等)も一緒に送っています。異常が発生した際には、初期状態とのFFT周波数パターンの違いを解析することで、原因究明のヒントを提供できるようになっています。
主に製造工場の設備監視です。工場の設備が突然止まってしまうと、ダウンタイムによってかなり損害が出ます。1日工場が止まってしまうと数千万円ということもあります。そうなる前に、故障の予兆を振動で拾って適切にメンテナンスができるようにする製品です。
工作機械、コンベア、駆動モーター、プレス機、成形機、ロボットなど、駆動するものであれば大体何でも対応可能ですね。空調設備、工場内ロボットなど、一定のパターンで動くものであれば使えます。
「Condition based Monitoring」の市場は2035年〜2042年に150億〜180億ドルの規模になると言われています。また、世界的にスマートファクトリーで使用される無線市場も同様な成長を見込んでいます。
製品リリースを直近に控えていた時期で、市場に製品を認知していただくために応募しました。アワードを取っている製品と何も知られていない製品とでは、お客様が受け入れるハードルが全く違います。たまたま受賞できたのですが、それ以降はお客様の方からも「アワード取ったのですね」ということで、かなりハードルは下がりましたね。
認知度が上がり、製品紹介をするハードルが下がるとともに、「一度使いたい」という声が増えました。展示会には年間何回か出展して興味のあるお客様とお話しするのですが、アワード受賞があるとまずアクセスがしやすくなります。かなりの件数、このおかげでお客様が取れたのではないかと思っています。
インターネットメディアでも記事を載せていただき、その頭に「アワード受賞」と付けていただいたので、それがかなり大きかったですね。
2024年7月に製品をリリースし、ターゲットとしていた製造業の工場への実装が進みました。
実は医療系や食品系からもアクセスをいただきました。我々は限られた産業分野をターゲットにしていたので、食品系や医療系には疎かったのですが、CEATECに併設されている展示会を通じてそういった業界からもお声がけいただけました。
製造工程があればどこでも使用可能ですから、医療系も食品系も実験をしていただいたり、実際に導入していただいたりしています。これまで考えていなかったターゲット外の業界に使っていただけたのは嬉しい発見でした。
CEATECは昔から名前が非常に有名で、産業界の人たちにとってはよく知られたバリューがあります。そこでグランプリを取ったと言うと、何も知らない人も「すごいね」と言っていただけるので、そこが一番のメリットかと思います。
日本産業界では「CEATEC」は一定の知名度があり、アワードを受賞していると顧客への製品紹介のハードルが低くなり、アポも取りやすくなった印象です。
去年もCEATECに出展させていただきましたが、お客様からの問い合わせの多くをCEATECで稼ぎました。やはり環境は重要です。2022年からずっと継続して出展しており、出展して良かったと思っています。
編集後記
TDKの「i3 Micro Module」は、小型・電池駆動でエッジAI処理を実現した振動センサモジュールとして、CEATEC 2022でスマート×インダストリー部門グランプリを受賞した。受賞により認知度が大幅に向上し、製造業はもちろん、医療・食品業界など想定外の分野からも問い合わせが増加するなど、顧客層の拡大につながった。残念ながら、i3 Micro Moduleの販売は昨年で終了し、後継機「edge RX ソリューション」に置き換わりました。
CEATECの産業界における高い知名度は、新製品を市場に認知させる上で大きな力となる。同社は継続的なCEATEC出展を通じて問い合わせの多くを獲得するなど、展示会を顧客接点の重要な場として活用している。